九月九日は重陽の節句

こどもの日は端午の節句で、ひな祭りは桃(上巳)の節句で、と言うのは今なお残る風習だけど、九月九日ってあんまり聞かないな-と。

 

重陽の節句っていうんですけど、耳慣れない。

 

これは中国の陰陽思想から来ているのですけど、数字にも陰陽があるんです。奇数が陽の数字で、偶数が陰の数字。偶数は割りきれてしまうから縁起が良くなくて、奇数は割り切れないから縁起が良いなんて覚え方で大丈夫です。

 

そんな陽の数字の中でも、一番大きい数は九。九が重なるから重陽。なんて言って九月九日を尊んでいたわけですね。

 

そして、旧暦ではこの季節は菊が咲く季節だったので、お祝いにお酒に菊の花を浮かべて菊酒だーめでたいーとやったりしていました。

 

他にも、平安貴族の風習で、重陽の日に黄色に染めた真綿を菊に乗せておくんですが、翌日には菊につく朝露で綿が湿っているんです。その湿った綿で体を拭えば無病息災であったとか。

 

中国の伝説で、菊の花が流れていた滝の水を飲んだら不老長寿を得たとか。そういう話があります。

 

昔の人は、とにかく若返りたい、不老になりたい、不死になりたいなんて考えていたんですね。ヨーロッパの人は金を創り出したいって言って錬金術を極めた結果、金は作れなかったものの化学の発展に大きく寄与して、東洋では、不老不死になりたいと言って陰陽やら五行説やらを極めた結果、医学、地理学、天文学の発展に寄与したとのことだそうで。

 

日本で一番高い山、富士山。富士山の語源も一節によれば不死の山、不死山で、死という言葉が入っていては縁起が悪いから語呂を変えたなんていう話も。日本は言葉遊びが好きな国なので。

 

せっかく日本という四季のある国に住んでいるのだから、暦を意識する生活をしてみたら、心が豊かになりますね。